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大塚総合法律事務所
 所長弁護士
 筑波大学法科大学院 教授
 博士(法学)、米国LL.M. (法学修士)& MBA 
        大  塚  章 
 
 

・英文契約書はなぜ長文になるのですか。
 英文契約の殆どは国をまたぐ取引です。どの国の法律が適用になるかわかりません。契約で「準拠法」(適用される法律)を決めていても、完全には当てにはなりません。米国の企業に対し、「紛争は信義誠実の原則にのっとり解決しましょう」などといっても通じません。国際取引契約は、まさに、当事者間で適用される法律を作る作業なのです。そこで、契約書にすべてを記載しようということになり長くなるのです。
 
・相手から英文契約書の案文をもらったのですが、難しいので、放っておいても取引がうまくいっていれば問題ないのではないですか。
 取引のルールを決めるのが契約です。「書面」での約束は重要な証拠にもなります。そうはいっても、うまくいっている時には契約書の必要性は低いといえましょう。しかし、争いになったときに、生きてくるのが契約書なのです。争いになってから、「納期は発注書から1ヵ月後だった」とか「損害賠償はできず交換のみだった」とか「米国裁判所に行きたくない」とか言ってみても遅いのです。
 
・英文契約を理解する上で大切なことは何ですか。
 まず、長文であればあるほど全体構造をよく理解することが大切です。また、相手方の国が日本と異なった法制度(例えば、米国の契約法のconsideration(「約因」つまり対価)や損倍賠償法のpunitive damage(懲罰賠償)など)を有している時、それを十分に理解することも重要です。その上で、問題の取引条件をどうするのか等決めていくことになります。
 
・英文契約を翻訳したり作成してくれる業者に委託するほうが、安くて速いのではないですか。
 確かに、対象取引の価額が安いものなどはそれでもいいかもしれません。しかし、それなりの国際取引を始めようとするのであれば、経験のある国際弁護士の関与は必須です。「誤解していました」とか「そういうつもりで、この条項を記載したのではない」とか言っても、弁解にはなりません。すべては、「書面」が証拠になるのです。正しい翻訳による正確な理解が全ての基本になります。
 
・英文契約の交渉をうまくまとめるコツは何ですか。
取引のキモを見失わないことです。交渉の立場に、強い弱いがあるのは常態ですが、いずれの場合でも、取引のキモに注意すべきです。間違った「条件の取引」をしないことです。そして、交渉を打ち切る勇気も大切なことです。また、契約が長文になればなるほど、矛盾や漏れが生じる可能性が高まります。この点にも細心の注意が必要になります。
 
・英文の訴状らしきものを受け取ってしまいました。どうすればいいですか。
 まず、内容を正しく知る必要があります。その上で、いつまでに何をすべきか、あるいは、全く無視すべきか(不適法な送付は無視できる場合があります)を迅速に判断しなければなりません。米国訴訟については、弁護士大塚はノウハウをもっており、勝訴判決を得る実績も有しております。
 
・準拠法と裁判管轄地のどちらが大切ですか。
 これはよく聞かれる質問ですが、ある意味でナンセンスな質問です。ただ、準拠法のほうが重要だと思っていらっしゃる方が多いのには驚かされます。しかし、裁判管轄国が決まって初めて、その国の裁判所がその国の国際私法(日本では「適用通則法」です)により適用法を決めるという先後関係は重要です。準拠法の合意があっても、それが有効と認められるかは、その国の裁判所が決めることなのです。
 
・裁判と仲裁で注意することは何ですか。
 日本の裁判所の判決が出てもこれを他国で執行するには、通常、その国で「外国判決の承認・執行」という法的手続を経る必要があります。このとき、日本とその他国との相互主義が問題となります。相互主義がないと、せっかくの判決もその他国で強制執行することができず、紙同然となるので、注意が必要です。これは、裁判例の調査などが必要になります。また、仲裁判断の場合はニューヨーク条約というのがあって、外国の仲裁判断の承認・執行には、この加盟国か否かをやはり事前にチェックしておく必要があります。ただ、日本では「仲裁法」が平成16年から施行されており、多くの外国仲裁判断は日本で執行可能となるでしょう。
 
・海外の相手と大きな取引をすることになりそうですが、準備として重要なことは何ですか。
 まず、相手と取引とその国の法制度をよく知ることです。その国の法制度、例えば、独禁法のようなものがないか、投資に関する規制がないか、税制はどうか、その他公法上の規制がないかなどです。また、裁判制度についても調べて置くべきでしょう。これらは、いわゆるカントリー・リスクの問題といえましょう。